○徳島市市民参加基本条例
平成21年6月29日
条例第21号
地方分権の進展に伴い,これからの地方自治体には,市民の意向や地域の実情を踏まえ,市民と一体となって,活力あるまちづくりを行うことが求められている。
そのため,行政が持つ情報を市民と共有し,市民と行政が共にまちづくりを考えることが重要となる。
本市では,これまでにも様々な形で市民による市政への参加がなされてきたが,市民の誰もが市政に関心を持ち,市民が主体的に発言し,市民の持つ豊かな知識や経験が反映されるような,市民を主役とするまちづくりの実現のため,この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は,本市における市民参加に関する基本的な事項を定めることにより,市民にとって分かりやすく開かれた市政を目指すとともに,市民参加の推進を図り,もって市民を主役とするまちづくりの実現に資することを目的とする。
(1) 市民 市の区域内に住所を有する者,市の区域内に事務所若しくは事業所を有する個人及び法人その他の団体,市の区域内に存する事務所若しくは事業所に勤務する者又は市の区域内に存する学校に在学する者をいう。
(2) 市民参加 市民が意見を述べ,又は提案することを通じ,市政にかかわることをいう。
(3) 実施機関 市長,教育委員会,選挙管理委員会,公平委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会,公営企業管理者及び消防長をいう。
(4) 附属機関 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項に規定する附属機関をいう。
(5) 市民会議 市民のうちから公募の方法により選出した者(以下「公募市民」という。)をその構成員に含む会議であって附属機関に該当しないものをいう。
(基本原則)
第3条 市民参加は,次に掲げる原則により行われるものとする。
(1) すべての市民がその機会を有すること。
(2) 市民と市が市政に関する情報を共有すること。
(3) 市民と市及び市民相互がそれぞれの考え方,立場及び役割を理解すること。
(市民の役割)
第4条 市民は,市民参加を行うに当たっては,自らの発言及び行動の与える影響について配慮するよう努めるものとする。
2 市民は,市民参加を行うに当たっては,公共の利益を尊重するよう努めるものとする。
(市の役割)
第5条 市は,市民参加を推進するために必要な施策を積極的に講ずるよう努めなければならない。
2 市は,市政について説明責任を果たすとともに,市民参加を推進することにより,市民と市の相互の協力による市政運営に資するよう努めなければならない。
3 市は,市民参加の機会に関する事項について,市民に分かりやすい形で周知するよう努めなければならない。
4 市は,市民参加により得られた意見又は提案を必要に応じて市政に反映させるよう努めなければならない。
(市民参加手続の対象)
第6条 実施機関は,次に掲げるもの(以下「対象施策」という。)の立案に当たっては,市民参加のための手続を行わなければならない。
(1) 市の基本的な施策を定める計画又は市の個別の行政分野における施策の基本的な方針を定める計画の策定又は変更
(2) 市の基本的な制度について定める条例の制定又は改廃
(3) 市民に義務を課し,又は市民の権利を制限することを主たる内容とする条例の制定又は改廃
(4) 公共の用に供される市の施設のうち,多数の者が利用するもの又は市民の生活に密接な関係があるものに係る基本的な計画の策定又は変更
(5) 前各号に掲げるもののほか,市民参加のための手続を行う必要があると実施機関が認めるもの
(1) 緊急を要するもの
(2) 法令等に基準が定められており,かつ,当該基準に基づいて実施するもの
(3) 実施機関に裁量の余地がないもの
(4) 地方税の賦課徴収又は分担金,使用料,手数料その他金銭の徴収に関するもの
(5) 人事管理,財務その他市の組織の運営に関するもの
(6) 軽微な事項に係るもの
3 実施機関は,対象施策が前項第1号に該当することにより市民参加手続を行わなかった場合において,当該対象施策が定められたときは,次に掲げる事項を公表するものとする。
(1) 当該対象施策の名称及び概要
(2) 市民参加手続を行わなかった旨及びその具体的な理由
(市民参加手続の方法)
第7条 市民参加手続は,次に掲げる方法のうち実施機関が対象施策の性質を勘案して効果的かつ適切であると認める方法及びパブリックコメント手続の方法により行うものとする。
(1) 附属機関への付議
(2) 市民会議の設置
(3) 説明会の開催
(4) ワークショップの開催
(5) アンケートの実施
(6) 前各号に掲げるもののほか,実施機関が効果的かつ適切であると認める方法
(1) 特定の範囲の者を対象として市民参加手続を行うことが効果的かつ適切であると実施機関が認める場合
(2) 対象施策の案について意見を提出する手続が法令等で定められている場合
(3) 附属機関又はこれに類するものがパブリックコメント手続に準じた手続を経て行った答申,報告等に沿って実施機関が立案を行う場合
(4) 前3号に掲げるもののほか,対象施策の性質上,パブリックコメント手続に適しないと実施機関が認める場合
(実施時期等の決定)
第8条 実施機関は,実施する市民参加手続の方法及び実施時期の決定を行うに当たっては,当該実施により得られる意見又は提案を対象施策に反映させるために必要な期間を考慮しなければならない。
(市民参加手続の周知)
第9条 実施機関は,市民参加手続を行おうとするときは,あらかじめ,市民参加手続の実施時期,対象施策が定められるまでの手順その他必要な事項について,市民に周知しなければならない。
2 前項の周知は,次に掲げる方法のうち適切な方法により行うものとする。
(1) 市の広報紙への掲載
(2) 市のホームページへの掲載
(3) 市の機関における資料の備付け
(4) 報道機関に対する情報の提供
(5) その他周知の方法として実施機関が適当であると認めるもの
(実施状況等の公表)
第10条 市長は,各実施機関による市民参加手続の実施状況について,随時公表するものとする。
2 市長は,各実施機関による市民参加手続の実施結果について,年度ごとに取りまとめて公表するものとする。
(パブリックコメント手続)
第11条 実施機関は,パブリックコメント手続の方法による市民参加手続(以下この条において単に「パブリックコメント手続」という。)を行う場合は,次に掲げる事項をあらかじめ公表し,広く市民の意見を求めるものとする。
(1) 対象施策の案(条例の案にあっては,当該条例で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料
(2) 対象施策の案についての意見(以下この条において単に「意見」という。)を提出するための期間(以下「意見提出期間」という。),意見の提出方法及び意見の提出先
(3) その他パブリックコメント手続の実施のために必要な事項
2 実施機関は,意見の提出方法を定めるに当たっては,できる限り多様な方法により意見の提出をすることができるよう配慮しなければならない。
3 意見提出期間は,おおむね30日とする。
4 意見の提出は,意見を提出する者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては,その名称及び所在地)を明らかにして行うものとする。
5 実施機関は,パブリックコメント手続を実施して対象施策の立案を行う場合は,意見提出期間内に実施機関に対し提出された市民の意見(以下「提出意見」という。)を十分に考慮しなければならない。
6 実施機関は,パブリックコメント手続を実施して対象施策の立案を行った場合は,当該立案した対象施策を公にするときに,次に掲げる事項を公表するものとする。
(1) 提出意見(提出意見がなかった場合にあっては,その旨)
(2) 提出意見を考慮した結果及びその理由
(3) パブリックコメント手続を実施した対象施策の案と当該立案した対象施策との間に差異がある場合は,当該差異及びその理由
8 実施機関は,第6項の規定により提出意見を公表することによって第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは,当該提出意見の全部又は一部を除くことができる。
(附属機関への付議)
第12条 実施機関は,第7条第1項第1号に掲げる方法による市民参加手続を行う場合は,対象施策の案に関する事項について附属機関に付議し,答申を求めるものとする。
2 前項の場合において,附属機関の会議を開いたときは,その会議録を作成しなければならない。
3 実施機関は,前項の規定により作成した会議録の内容を公表するものとする。ただし,徳島市情報公開条例(平成19年徳島市条例第1号)第7条各号に掲げる情報については,公表しないものとする。
(市民会議)
第13条 実施機関は,第7条第1項第2号に掲げる方法による市民参加手続を行う場合は,対象施策の案に関して意見交換又は討議を行うことを目的とする市民会議を設置し,当該意見交換又は討議の結果について報告を求めるものとする。
2 前項の場合において,市民会議の構成員の構成は,年齢,性別,公募市民の割合その他の多様な意見を得るために考慮すべき事項を勘案して定めるよう努めなければならない。
3 第1項の場合において,市民会議の会議を開いたときは,その会議録を作成しなければならない。
(市民説明会)
第14条 実施機関は,第7条第1項第3号に掲げる方法による市民参加手続(以下「市民説明会」という。)を行う場合は,対象施策の案及びこれに関する市の方針についての説明,意見交換又は質疑応答を行うことを目的とする集会を開催するものとする。
2 市民説明会の開催日時及び開催場所は,多数の市民の参加が得られるよう配慮して定めるものとする。
3 実施機関は,市民説明会を行ったときは,意見交換又は質疑応答の内容等を記載した開催記録を作成しなければならない。
(ワークショップ)
第15条 実施機関は,第7条第1項第4号に掲げる方法による市民参加手続(以下「ワークショップ」という。)を行う場合は,参加者が対象施策の案に関して意見集約又は合意形成を図るために意見交換又は作業を行うことを目的とする会合を開催するものとする。
2 ワークショップの規模,参加方法その他ワークショップの運営に関し必要な事項は,対象施策の内容に応じ,その効果的な運営が行われるよう配慮して定めるものとする。
3 実施機関は,ワークショップを行ったときは,意見交換又は作業の内容等を記載した開催記録を作成しなければならない。
(市民アンケート)
第16条 実施機関は,第7条第1項第5号に掲げる方法による市民参加手続(以下「市民アンケート」という。)を行う場合は,対象施策の案に関する事項について,市民の意向を調査するものとする。
2 市民アンケートの内容は,市民の意向を的確に把握することができるよう配慮して定めるものとする。
3 実施機関は,市民アンケートを行うに当たっては,回答の参考となる情報の提供その他回答を容易にするための措置を講ずるよう努めるものとする。
4 実施機関は,市民アンケートを行ったときは,次に掲げる事項を公表するものとする。
(1) 集計結果
(2) 意見の記載を求めた場合(あらかじめ公表しないことを条件として記載を求めた場合を除く。)は,当該記載された意見
(市民参加手続の評価)
第18条 実施機関は,実施した市民参加手続について,効率性又は有効性の観点から適切な方法により評価を行うものとする。
3 評価結果及び前項の規定により得られた市民の意見は,市民参加手続の効率的かつ効果的な実施のために適切な活用が図られなければならない。
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は,実施機関が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,平成21年8月1日から施行する。